怒りの葡萄   (1938年)

著者:ジョン・スタインベック (アメリカ 1902−1968)


出版された当時の反響は大きく、特に作品の舞台になったオクラホマとカリフォルニアでは、怒号が巻き起こったという。
禁書になったり、焚書の憂き目に遭ったこともあるという。希望のアメリカとは程遠い現実を、それほどありのままに描いたということだろう。

最初の亀の行進から、以前に読んだ小説とは全く異なる雰囲気を感じた。厳しい自然と社会の中で、苦悩しながら生きていく労働者の姿が、あの広大なアメリカ大陸に、太い線を描いていく。アメリカに対する、何か明るくさっぱりとした印象をきれいに拭い去らせる本だ。

最後の場面は、中学生にはかなり衝撃的だったが、これこそ作者の意図なのだろう。
作品全体を、旧約聖書の「出エジプト記」に見立てる読み方もあるそうだが、それより1930年代のアメリカの現実を知ることができる。



Book Surfingのトップページへ!ご意見、ご希望、お問い合わせはメールで!かぼちゃのページへ!次の本へ!