著者:アルフォンス・ドーデ (フランス 1840-1897) |
作者の故郷、プロバンス地方で見聞きした話しを集めた短篇集。 よく知られているのは、「コルニイユ親方の秘密」、「黄金の脳みそを持った男の伝説」など。特に後者は、昔読んだ時、あまりにも恐ろしいイメージが頭に取り付いてしまって、これに何の意味があるのかよく分からなかった。 脳みそが金で出来ていたばっかりに、不可思議な人生を送った男。こういう不思議な話しが子どもにどんな影響があるのか、と考えていて、ふっと今取りざたされているグリム童話を思い出す。これもまたメルヘンの要素を備えた話しだと思う。皆さんは、それぞれ、自分で考えて下さい。 その他、収録されている話しはどれも、味わい深いものばかり。 作者のドーデは体が弱く、そのために読書好きの空想家で、小説家に向いていたが、晩年は病気と闘いながら文学に打ち込んだという。 作品には、明るいプロバンスの市場あふれる風物が描かれていて、作者の故郷への気持が込められているような気がする。 |