著者:湯本 香樹実(東京 1959−) |
3人の12才の少年と一人暮らしの老人の関わりを叙情豊かにユーモラスに描く。 作者は脚本や台本を書く人。生き生きした、映画かドラマを見ているような描写はさすがという気がする。 興味本位から老人とかかわり出した少年達だが、次第に本当に老人の事を真剣に考えて行動するようになり、成長していく様子が感動的。 戦争の傷や老人問題を伏線にして、現代人の大人の考えと生活と、子ども世界を対比しながら、子どもの目を通して描いていく。 この一人の老人と3人の子どもの心の交流。こういう関係をうまく築き上げていくと、子どもの人生観に大きな影響を与え、思いやりのある人間に育つのに・・・と思う。 作者の体験から生まれた話だというが、子どものころの体験や感動は、その時には本当の意味がわからないものだ。大人になっていろんな経験を経た時に、その意味がはっきり分かってくるような気がする。 |