著者:シャーロット・ブロンテ(イギリス 1816−1855) |
有名なブロンテ姉妹の一人の作。 幼いころにいた学校体験と、大人になってからの寄宿学校での淡い恋の思い出を、小説の中に描き込んだ。 最初読んだ時は、自然も人間の暮しも、その中での人間の感情表現も、全部くらいイメージしかなかった。こんな自由な世の中にいながら、こんな暗いものを読むと余計に奈落をのぞき込むような気がしたものだ。 当時の小説としては、女主人公が自分の愛情を正直に相手にかたったりするのは、非常に珍しいことだった。その意味で、この小説はそれまでのヴィクトリア朝の伝統文学に革新を与えた。 自由に感じ、感じるままに表現する女性が初めて近代文学に登場した、ということだ。 それにしても暗いイメージがつきまとうのは、妹の作品「嵐が丘」も同じだが、主人公のジェーン・エアとロチェスター氏との愛情も屈折している。 |