王子と乞食   (1882年)

著者:マーク・トウェイン  (アメリカ 1835-1910)


話しの内容は、16世紀のイギリスの歴史を盛り込んでいる。イギリス君主制度の圧政のむごさを描くというのは、アメリカ人の皮肉か。

双子のようにそっくりな少年二人を、王子と乞食に振り分け、入れ替えて起きるどたばたと、スリルあふれる大団円で読むものを飽きさせない。トウェイン独特の辛辣なユーモアが、全編に流れている。
映画にもなったが、これはひょっとすると映画のシナリオかと思うほど、映画にぴったりの構成だ。

王宮に残された乞食少年トムと、乞食の家族に放り込まれた王子の行動が、回りの人々を右往左往させる痛快さ。こんな話しは、子どもなら誰でも想像したことがありそうで、大好きなテーマだ。

ビジュアルな娯楽が乏しかった昔の方が、目に見えるような生き生きとした文章を書く、描写力、表現力が冴えていたような気がする。

ところで余談だが、ミシシッピ川の蒸気船の水先案内人をしたこともあるという作者。マーク・トウェインというのは、「水深2ひろ」という意味だそうだ。



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