著者:ヴィクトル・ユーゴー(フランス 1802-1885) |
「レ・ミゼラブル」というタイトルで知っている人も多いでしょう。 ミュージカルや映画になっていて、有名ですね。映画もミュージカルもそれなりに面白く作られていますが、本当のところ、原作に忠実ではありません。 面白くするために、ずいぶん省略されていたり、筋が変えられたりしているところがあります。 登場人物のそれぞれの人生が、時代の波に押し流され、さまざまな人間との関わりの中で、自分の意志とは別にどんどん進んでいきます。読んでいくにつれ、いろんな登場人物の人生を生きている自分に気づくのが魅力です。 ユーゴーの語り口に、思わず物語の世界に引きずり込まれていくのです。ジャン・バルジャンのなんとも言えない切ない思いと、高潔さ、ファンテーヌの哀しさ、ジャベルの執念、テナルディエの悪辣さ。 それに、意外に影の薄いのが、コゼット。 子供の頃は、小さいコゼットの前にジャン・バルジャンがあらわれる所が大好きでしたが・・・ こういうのを白馬の王子様願望というのでしょうか! 大きな波に揺られる気分で、読み終わると、たくさんの人生を生きた気がします。 |