木々を渡る風   (1998年)

著者:小塩 節 (長崎 1931−)


NHKのドイツ語番組時代から、その朗々とした声と語り口が気に入っている。ドイツに関する著書が多く、どれも面白く、ドイツが好きになること請け合いだ。

この本は、日本やドイツで小塩先生が見てきた木の話しが詰まっている。乾いた都会、殺伐とした世間にうんざりしたときに、みずみずしい気持ちを思い出させてもらえる本だ。いろんな木にまつわる思い出、名前の由来や、ちょっとした豆知識など読んでいると、、ふだんあまり気にしていなかった木が気になり始める。

英語のbook(本)の語源は、ドイツ語のBuche(ぶなの木)だそうだ。文字を覚えたゲルマン民族は滑らかなぶなの木の樹皮は板に文字を書きつけたという。ポプラはラテン語の学名で、昔ギリシャ人やローマ人がこの高い木を目印に集まり、木陰で集会をしたので、ポプルス(人民)の木と呼んだとか。英語のpopularという言葉はここから生まれたそうだ。有名な小説「嵐が丘」に出てくるヒースというのは、ドイツではエーリカという。ヒースはなじみがないが、エリカなら、花屋さんでお目にかかれる。
もっと知りたい方はぜひ本を読んで!

ドイツ、ドイツ人、ドイツ語をテーマにした本が多数出ていて、どれもドイツを知るためにはお勧めである。



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