著者:バーバラ・スィーリング |
これは、小説でもドキュメンタリーでもSFでもない、学術書。 著者はシドニー大学の学者で、死海文書の研究者。 3センチはあろうかというハードカバーの本だが、素人に読めるのはそのうちの5分の2ほどだ。 残りは資料で、年代学、聖書に出てくる場所の説明、ヒエラルキー。興味のある人には非常におもしろい部分かもしれない。 素人は前半の、イエスに関する常識をくつがえす説にただ唖然とする。無宗教のわたしにとって、聖書はなじみがないが旧約聖書はおもしろい物語を集めた本として、子どものころに読んだ。 モーゼの出エジプト記、ブドウ酒の奇跡、処女受胎、ラザロの復活、イエスの復活、十字架刑など・・・こういう話が、死海文書に基づいて改めて、読み解かれている。 水がブドウ酒になったのか、処女で懐妊することがあるのか、使者は復活するのか、イエスの最後は十字架上ではなかった・・・聖書がこんなおもしろいものだったとは! クリスチャンの人には合意し難い内容かもしれないが、聖書を学問的に科学するとこうなるのか、と興味深い。 |