著者:ジャン=ピエール・ダヴィッド (ベルギー 1950−) |
有名なサン=テグジュペリの「星の王子さま」へのオマージュというべきか。 テグジュペリは砂漠で王子さまに出会うが、パジャマと部屋履きのジャン=ピエールは海の真ん中の小さな無人島で、羊を連れた王子さまにであう。 サン=テグジュペリと別れた王子さまの、その後の放浪の旅の話しを聞いて過ごす。 エコロジストの星、宣伝マンの星、統計学者やマネージャーのいる星、赤と緑が敵対している星、可愛いおんなのこのいる星、などなど。 お腹がいっぱいで、帽子のような形をしたウワバミの話しは、原作を思い出させる。そして、五十数年の間に変貌してしまった地上への辛辣な皮肉がそこここに見える。 あまりにも有名な原作のために、続編がなかなかでなかったということだが、あらためて原作のなんとも言えない味わいが、いかに素晴らしいかと思わされる。 この本の作者もわきまえていて、主張するのではなく、あくまでサン=テグジュペリへの手紙という形式を取っている。 そして作者の願いは、「サン=テグジュペリが生きていたら、喜んで握手しに来てくれるような作品」を書きたかったのだそうだ。 |