思いがけず、素晴らしい紅葉を見て感激・・・ 今年もぜひ紅葉を見ようと、友人と東北へ行くことにした。 いろいろ検討した結果、旅行社のパンフレットに惹かれて 「あきた紅葉の角館・田沢湖めぐり」に申し込む。 目玉は、「抱返り渓谷の紅葉」! 今年の秋は、天候不順で日々の服装にも困るほど・・・ 東北の天候は予想しようもなく、一週間ぐらい前から 天気予報を気にしつつ、頭の中であれこれ思案投げ首 友人とは電話でのやりとりが続いた・・・ 前日の夜、どうも寒そうと、防寒主体の服装にして荷作り! |
駅前のバスターミナルで、わたし達の乗るバス「きたうら紅葉ハイライト」号が待っていた。小型の観光バスに、観光客は6人、ガイド二人と運転手。東北弁のアクセントの交じるガイドさんの案内はほのぼのとして親しみがあった。 ドンパン節の発祥地という中仙町へ向かい、まず最初に訪れたのは、何故か酒屋さん(^ ^;) 創業310年という鈴木酒造店。 昔ながらの趣の玄関から一歩はいると、中には内蔵(うちぐら)という立派なつくりの蔵がいくつもあるのにビックリ。お店の人の案内で中を見学して回り、酒造りのことなど説明してもらった。桂の幹から桜が生えている珍しい樹のあるお庭もしっとりと美しかった。 11月に入ると新酒の仕込みに入り、約一月ぐらいで新酒が出来上がる。すると、今、玄関に下がっている茶色に変色した杉玉は、緑したたる緑の杉玉に変えられて、「新酒が出来上がりました」というお知らせになるという。
大きな木製の桶や、巨大な貯蔵タンクの列などを見せてもらう。 その後はお楽しみの試飲! この店の銘柄の「秀よし」を幾つかのバージョンで試飲する。少し甘口だが、なかなかおいしかった。その場でお土産に何本か買って送ってもらうことにする。営業路線に乗っているとはわかっていても、おいしい誘惑には勝てない・・・(^ ^;)
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市内を抜けて田沢湖へ向かう。ここでは有名は辰子姫の像を見て休憩。 田沢湖は、水深423.4mのカルデラ湖で、その水深は日本一位、世界三位を誇る。 透明度は摩周湖についで日本二位だという。周囲の緑に赤、黄、茶色が点在し、遠景の山には雪がかぶり、手前の静かな湖面と空の雲が呼応し、神秘的な雰囲気をかもし出している。 たつこ像は、昭和43年東京芸術大学、船越保武教授(高村光太郎門下の彫刻家)の制作によるもので、青銅金粉塗り仕上げ、高さ2.3mの像だ。周囲に何もない湖岸に金色に光る像は、ちょっと異様な光景に思えるが・・・ バスはどんどん山に登っていく。あたりの風景に白いものが混じりだし、見る間に冬景色に様変わり。 紅葉と雪のみごとなハーモニーに感激し、窓に張り付いて食い入るように眺めていた。 前日の夜に降った雪は一晩で40センチも積もったそうで、10月の積雪は70年ぶりと地元の人も驚いたそうだ。 その夜の宿では、硫黄泉と単純泉、それに雪の積もった露天風呂と三つのお風呂を堪能した。
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翌日、朝風呂に入って朝食後、宿の前で昨日のバスに拾ってもらう。 いよいよお目当ての「抱返り渓谷の紅葉」を見に出かける。 山を抜けていく間は、朝日の中の雪景色・・・ 紅葉を見にきたはずなのに、まるでスキーにでも来たような錯覚を覚える風景だ。
山を降りてしまうと、雪はすっかり消えて、ちょっと遅めの紅葉の景色がつづく。抱返り渓谷は、田沢湖町と角館町のほぼ中間に位置する。角館駅からは車で10分ほどという近くにある。 「抱返り渓谷」という名前を聞くと、その由来が知りたくなるが・・・
この橋は秋田県で最も古い吊り橋で大正15年(1926)に完成したという。
最後の駐車場を抜けた後は、渓谷の断崖に沿って遊歩道が作られている。 眼下に流れる玉川のコバルトブルーの水を脇役に、対岸の紅葉が織りなす錦模様に感嘆しながら歩く。 対岸の滝、洞窟、流れの中の巨岩、急流、真っ暗で足元も見えないトンネル、大きな「回顧(みかえり)の滝」など、変化に富んだ景色と紅葉、胸にしみいる清冽な空気を心ゆくまで味わいながらの散策。 この玉川の「コバルトブルーの水」は景色としては美しかったが、歴史的には地域の人々の悩みの種だったそうだ。ガイドさんの説明にたびたび出てきた「玉川毒水」という言葉、帰宅して調べて初めてその意味を知った。
2時間ほどのトレッキングを終えて、角館へ向かう。
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角館は武家屋敷で有名、以前から来てみたいと思っていたのが、今回思いがけなくツアーにセットされていてラッキーだった。 まずは腹ごしらえと、バスツアーに組み込みのお昼をいただく。「七兵衛」というレストランで食べた芋汁ランチがおいしかった。 バスツアーではここで暫らく見物してから、1時過ぎに角館駅で解散というスケジュールになっていたが、わたしたちはじっくりと見物したかったのでツアーとわかれた。 武家屋敷のある大通りに一歩足を踏み入れると、まるでタイムスリップしたような気分になる。 時代劇そのままの黒塀と古風な門が並び、屋根を大きくおおう大木の陰とあいまって、今にも武士や丸髷の女性が出てきそうな雰囲気だ。 片端から見物できるお屋敷に入ってみる。 小田野家、河原田家、岩橋家、青柳家、西宮家など・・・
思いのほか簡素なつくりだったり、一体なん家族が住んでいたのかと思うような大邸宅だったり、美術館に迷い込んだかと錯覚するような屋敷もあった。途中でどこかのツアーに交じってガイドの説明を聞かせてもらいながら歩く。 とくに関心を持ったのは屋根の下あたりにある飾りで、それぞれの家によって趣向が凝らされていてすばらしかった。 また、昨日の酒屋と同様に、家の中にある蔵の立派なのに感心した。外蔵が立派な屋敷では、蔵と蔵の間の木戸とむこうに見える屋敷が一服の絵のようだった。
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もう一つ興味を持ったのは、青柳家にあった「小田野直武」の資料類だった。 西洋画の基本画法を学んで、秋田蘭画の祖といわれ、杉田玄白らと親交があったという。 底冷えのする街を歩き回ったあと、ふと見つけたお菓子屋さんで休憩させてもらった。おいしそうなお菓子を二つずつ買って、お店の中の床机で熱いお茶とともにいただくと、身も心もほかほかに温まった。ほんとうにおいしいお菓子だったのでお土産にも買ってきた。後藤福進堂さんの金柑まんじゅうは絶品! 駅までぶらぶらと歩きながら、道沿いを見物。駅の近くで、ふと気づくと人力車が・・・ そして車夫がなんと女性だった。お願いして写真を撮らせてもらったが、一瞬で形を決めるポーズがみごとだった。薄化粧のピアスをした車夫さん、いなせだった。 16時7分発の「こまち22号」で帰京。一泊2日の短い旅だったが、中身は濃かった。また違う季節に行きたい街だ。武家屋敷の枝垂桜が有名で4月末から5月の連休あたりが見ごろだそうだ。
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