著者:ギィ・ド・モーパッサン (フランス 1850−1893) |
一人の女性の一生を直接描いた小説。 これを少女期や、若い女性が読むと、人生とか結婚に対する夢と希望を失いそうな気がする。が、実際、中学生時代に読んだが、そうではなかったのが不思議だ。全く別世界の話しとして読んでいたのかもしれない。 ジャンヌは、選んだ相手が悪かったとはいえ、悲惨な結婚生活を送る。当時の没落貴族の生活の退廃をリアルに描いていて、鬼気迫る小説の雰囲気を怖いものみたさに読み進んだものだ。 最後に、ジャンヌの母性を描いている所が唯一の救いのような気がする。 男性作家が、女性の心理をこうも微妙に作り上げるのには驚く。しかし、父親がジュリアンのモデル、母親がジャンヌのモデルというような環境に育ったモーパッサンの一生も、ジャンヌの一生と余り変わりがなかったらしい。 晩年は病気と狂気に冒されて、43才の短い生涯を終えている。 しかし、思い出すと思春期にこんな暗い小説を好んで読んでいたことに、今更ながら驚く。幼い子どもが、ちょっと恐ろしい童話やおとぎ話を好んで聞くのと同じ心境なのかな、と、最近、取りざたされている話題を思い出す。 |